刀身彫刻されている刀剣の精神

刀剣の強弱

刀剣の強弱を決める要素として、切れ味がよく評価の対象となりますが、その点でいえば日本刀は非常によく切れるという評価になっています。
日本刀がよく切れる理由はまず刀を砥ぐ技術が発達しているということもありますが、その造り込みが独特の形をしているためです。
造り込みというのは、日本刀を切っ先部分から見たときの形のことを言いますが、海外の刀剣はこれが完全な垂直になっているかもしくは逆三角形になっており、十分に力が伝わる構造になっていないものが多いです。
しかし日本刀の多くは鎬造りという正５角形を逆にして、先端の一つを鋭利にしたような形をしており、この構造により手で振った時の力が刃部分に正確に伝わるようになっています。
さらに刀剣の強弱を表す指標としては、折れないことや曲がらないことがありますが、この点においても日本刀は海外の刀剣の上を行きます。
日本刀を製造するときは柔らかい鉄に固い鉄を巻きつけていくような作り方をしますので、固いものにぶつかったとしても、刀身の内部は柔らかいため柔軟に受け止めることができます。
このような作用により折れないし曲がらないことになります。

刀剣の良刀の三要素

刀剣を評価するときの三要素として折れないこと、曲がらないこと、よく切れることというのがあり、これらが３つそろった刀剣が良刀と呼ばれます。
これらがすべて満たされている刀剣は世界中を見ても日本刀だけです。
というのは西洋では戦いはもっぱら盾を用いて相手の攻撃をはじきますので、武器がよく切れたとしても相手に届かないため意味がありません。
しかし日本では盾を用いることがなかったため、一撃で勝負を決めるために切れ味を鋭くすることが求められたためです。
切れ味が求められる日本刀は、作る際に独特の方法を用いて刀剣の切れ味をよくします。
その方法は日本刀の構造を鎬造りという正５角形にすることで、両手で発生した力が切っ先によく伝わる構造となっています。
海外ではこのような構造の刀はなく力が分散するため切れ味が悪くなります。
さらに鎬造りという形は日本刀が折れず曲がらないためにも一役買っていて、相手の刀や体とぶつかったときの衝撃をうまく分散することに成功しています。